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賃貸事務所のカギはこれだ

自の前の業者がたとえ無免許業者一いや業者モドキでも、ほとんどのマイホーム購入者は気づきもしないで今日も契約書に署名する・それまでなにかと親身に相談に乗ってくれて、一OOパーセント信頼を置いていた不動産会社の営業マンが、実は資格を持っていなかった。 不動産ビジネスの現場では、しばしばこういうことが起きる。
新入社員ならまだしも、数多くの実績を上げているベテランの営業マンでさえ、実は宅地建物取引主任者、通称、宅建という資格を持っていないという人が結構多いからだ。 打ち合わせのたびに偉そうにふんぞり返って、客にはわからないような専門用語をわざと持ち出す。
そうやって客を煙に巻くような一昔前の営業スタイルを後生大事に守りながら、日夜実務にあたっている不動産屋をいまでも見かけることがある。 名刺を見ると「営業部長」とある。
いかに自分が専門知識にあふれでいるかを誇示するその営業部長さんが、実は試験にいつまでたっても合格しない、宅地建物取引主任者資格試験会場に毎年お邪魔する常連さんだったりするのである。 宅地建物取引主任者(以下、取引主任者)とはどういう資格なのだろうか。
取引主任者への関円である宅地建物取引主任者資格試験の受験者数は、平成年度、全国で約一八万人に上っている。 そのうちの合格者数は約二万八OOO人であったということなので、合格率は約一六パーセントということになる。
受験者数は昭和六一年(一九八六)以降、景気の上昇につられて毎年四、五万人のペースで増え続け、「一億総不動産屋時代」と呼ばれた平成二年には三四万人というピークを迎えた。 当時は「宅建ブーム」とまでいわれて、受験生にあふれかえる試験会場の様子がニュースでもたびたび取り上げられたことから、記憶に残っている人も多いのではないだろうか。
「一億円の取引を一発決めればそれだけで三OO万円の手数料収入だって?そりやすごくオイシイ商売じゃないの」ということで、老若男女がこぞって試験会場に押しかけたのである。 ところがその直後に訪れた急激な不動産不況から、やっぱり現実はそう甘くはないということになり、結局この受験ブームも一過性で終意。

受験者数もその後は減少し、ここ五、六年は二O万人弱に落ち着いている。 さて、この試験に合格したらすなわち有資格者かというとそうではない。
合格発表の後、都道府県知事の登録を受け、取引主任者証が手元に交付されて初めて取引主任者といえるのだ。 一般に不動産屋と呼ばれているのは正確には宅地建物取引業者、通称、業者と呼ばれる人たちである。
業者は事務所ごとに専任の取引主任者を置いたうえで、建設大臣または都道府県知事から免許を受けなければならない。 それでは、業者にとって必要不可欠のこの取引主任者という資格は、実際の不動産取引の現場においてどういった権限を持つことになるのだろうか。
取引主任者の資格保持者でなければできないことは、不動産取引の過程において次の二つしかない。 つまり一つは、重要事項の説明とその書類への記名押印(宅建業法書になるわけだが)への記名押印(同法第三七条三項)である。
つまりそれ以外の営業行為はすべて、別に資格を持っていない人が行ったとしても違法ではない。 物件の紹介はもちろん、物件の案内でも、値引き交渉でも、どんどんやってかまわないわけだ。
ところが物件が特定され、売り主、買い主双方の価格の折り合いもついて、いざ、契約のメドが立ってしまうと、重要事項説明にしても契約書への記名押印にしても、資格なくしてはできない業務ということになる。 したがって、実際の取引の現場においてはこういうことが起きるのだ。
以下は先日、中古マンションを買ったUさんの話である。 「いやあ、契約の当日、初めて不動産屋の事務所にお邪魔したんですよ。
そしたらですね、いかにも『オミズ』って感じの女性がお茶を出してくれましてね、あまりのケバさに思わず見とれてると、その女性がお盆を脇に置いて自の前に座ったかと思うと、いきなり手にした書類について説明を始めるじゃないですか。 それまですべてを取り仕切ってた営業マンはバツの悪そうな顔をして、黙って彼女の横に座ってるだけなんですね。
後で聞いたら彼女が唯一その会社の専任の取引主任者らしいんですよ」。 別に営業のプロと有資格者が別々でも問題はないっていえばないんですけど、なんか信頼していた医者に手術の当日、「実はいままでいいそびれてたんですげど、僕は資格を持ってないんで、後はこの新人のドクターにまかせまずから」と言い渡されたみたいで、不安になりましたよ、とUさん。

Uさんのケースのように、営業行為の最終段階、つまり業者のいうところの「クロージング」になって初めて・自分が資格を持っていないことを告白する営業マンは多い。 これは、有資格者でなければできない行為がその時点で発生するという理由とあわせて、たぶん、営業マンの多くが、自分が無資格者であることを早い時期に客に告白して、無駄に信用を失うのを恐れているからだろう。
さて、Uさんがなんとなく肩透かしをくったような気分になったとしても、別に違法行為にはまったわけではないのだし、そんなことを気にするほうがおかしい、といえないこともない。 というのはこの業界には、資格と免許にまつわる世にも不可思議な話がいくらでもあるからだ。
宅地建物取引業者と思っていたら、その免許は別の業者からの借り物で、実はモグリの業者だったということもあるくらいなのだ。 不動産業界でいうところの「名義貸し」と呼ばれている行為には、次の二つのパターンがある。
一つは宅地建物取引業者がその免許を貸す行為。 もう一つは、取引主任者の有資格者がその資格を貸す行為である。
宅建業法でいうところの名義貸しというのは、前者の場合を指す。 そしてその第一三条では業者の名義を貸すというこの行為を、宅地建物取引業の免許制度をおびやかす重大な違法行為として、はっきりと禁止している。

法律違反者に対しては同法第六五条で、一年以内の期間を定めて業務の停止を命ずる、とある。 さらにもし名義を借ニセ不動産屋の化けの皮をはいだ者が違法行為をはたらいた場合、商法の第二三条「名板貸し」にあるように、貸したほうの業者も連帯して責任を負うというのが法律の専門家の意見なのである。
残念なことに、法律は厳しく禁じているにもかかわらず、結構、免許業者になりすましたモグリにまつわる話を耳にする機会がある。 業者免許だけでなく会社名から印鑑まで、いっさいがっさい第三者が借りて営業しているというのだ。
廃業するという不動産屋や、一部の支店を閉鎖するという業者から、まったく無免許の者が名義を借り受けて、表向きにはなにごともなかったかのように営業を継続するというパターンが多いらしい。 なぜ彼らは、法律で禁止されているのに、リスクをおかしてまで「免許」にこだわるのだろうか。
その主な原因は手数料報酬との関係にある。 つまり簡単にいえば、無免許であるかぎりたとえ報酬を取りそびれても裁判で請求することはできないという、報酬に関しての無免許業者独特の請求権に原因があるようだ。
無免許業者ならではのこういった一種独特の報酬請求権について、過去の判例での考え方はほぼ一貫している。
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